凧の博物館
やってきました、凧の博物館。
多分、博物館法でいう「博物館」ではなくて私設博物館です。
場所は日本橋駅から徒歩5分ほどのオムライスで有名な「たいめいけん」の5階です。
なぜ「たいめいけん」の上にあるかというと、
創業者の茂出木心護さんが凧の収集家だったからだそうです。
外国でも凧を揚げるほどの凧好きで集めるのはモチロン、
「日本の凧の会」の設立発起人に1人にもなりました。
というわけで昼時のたいめいけんの行列を素通りし5階へ。
結構クラシックなエレベーターです。
入館料は200円、受付の方に払います。
無断での写真撮影は禁止のようですが、確認するとOKとのこと。
館内は所狭しと凧、凧、凧。
説明も少なく雑然としていますが、量がすごいです!
日本の江戸凧を中心に国内外3000点もの凧が展示されているのだとか。
一生分の凧見ましたね、ホント。
今まで凧について特に気にしたことが無かったんですが、向き合ってみると
そもそも始まりはいつ何処なのか、日本ではいつ頃から使われていたのか?と
疑問が湧いてきます。
ちゃんと入り口に時代を感じる解説板がありました、親切です。
昔の人からしたら、空飛ぶんだから不思議なものですよね。
鳥と一緒で信仰に結びつくってもんですよね。
こちらは凧合戦用の道具。全く見たことのない道具です。
凧用の糸巻き!でっかい!
糸巻きってのは大きくても凛としてきれいなものですね。
凧揚げの糸にも高価なものがあるそうです。
凧といえば凧揚げ遊びしかイメージがなかったんですが、
かつては色々な使い方がされていたそうです。
こちらは1906年、サンフランシスコ地震のあと市街地のパノラマ写真。
凧にカメラを搭載して上空から撮影されたそうです、おお。
他にも戦闘機の銃手の訓練用ターゲットに使われた凧や、
インドネシアで動物避けに使われた凧なんかもあります。
音が出るパーツが付いており、一度揚げると何日も上空で猿や豚を追い払うそうです。
自然から採れる素材だけでそんなものが作れるっていうのがすごいです。
こちらは作るのも揚げるのも難しいセミ凧。
技術が途絶えていたのを再現したそうです、すごい情熱。
まあ、セミは嫌いなんですけどね。
大きいものでは鎧武者の凧とか。
錦絵風の角凧とかがたくさんあります。
大きい角凧は1点1点手作業で絵を入れていくそうです。
日本の凧は江戸凧が中心で、図案は錦絵風のものが多いですね。
凧といえばコレ、やっこ凧!
このやっこ凧、見ていると疑問が湧いてきます。
おそらく描かれている人物が「奴」なんだと思いますが、「奴」って何?
わからなかったので聞いてみました。
まず、「奴」は江戸時代の武家の下僕で中間のことを指しているそうです。
農民や町民が雇われており、槍などを持って大名行列の供先を務めるのが仕事。
武家に使えるものの中で一番身分が低い人たちです。
そんな身分の低い人の姿を模した凧を揚げることで、
大名屋敷を遥かに見下ろすことができ、
庶民が武家へささやかな仕返しをしていたらしい、ということでした。
ちなみに足の部分の模様は漢字の「火」となっており、
火災よけのお守りとしてミニ凧をかまどに飾っていたというお話も伺えました。