式部のニート的放浪日記

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紀尾井アートギャラリー 江戸伊勢型紙美術館

パナソニック汐留ミュージアムからハシゴ。
赤坂見附駅から徒歩10分ほどの紀尾井アートギャラリー 江戸伊勢型紙美術館。
型紙美術館の部分の表記が媒体によってブレています…
ここでは公式HPの表記で統一しましょう。
 
とってもレアな伊勢型紙を常設展示している美術館です。
他には三重県鈴鹿市に伊勢型紙の資料館があるくらいかな?
 
ちょっと迷いつつ何とかたどり着きました!
 
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お外に出してある案内に、
印刷ではなくて本物の伊勢型紙が入っていました!さすが!

館内は撮影禁止、入館料は大人1000円です。

 

経営母体は日本語教師を育成する学校だそうです。

なんでも日本橋の呉服屋さんが廃業するということで、

そこで保存されていた10000点以上の型紙を譲り受けて美術館としたそうです。

 

館内は浴衣用の大きなものや、小さなものまで様々な伊勢型紙が展示されています。

 

型紙の展示は前に三菱一号館美術館でもみたことがありますが、

くっきりとしたラインや緻密な模様、バリエーションの豊富さがとっても面白いです。

 

伊勢型紙とはなんぞや?という方には公式HPに説明も。

伊勢型紙は、着物の文様を染める原版です。
柿渋加工された和紙に手掘りで彫刻されたものです。
現在の三重県鈴鹿市が産地で、そこから伊勢型紙と呼ばれ、江戸時代に紀州藩の補語を受け、飛躍的な発展を遂げました。

 

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画像をお借りした型紙は、

アメリカのクーパー・ヒューイット国立デザイン博物館所蔵のもの。

既にパブリックドメインになっています。

 

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柿渋を塗った和紙を何枚が重ねて、
彫刻刀のような道具で大小様々な模様を模様を彫りぬきます。
型紙の補強のために古いものは糸入れ、新しいものには紗張りが施されています。
コウモリの型紙は糸の様子がよくわかりますね。
 
型紙は日本では使い古された道具としてあまり注目されることはありませんでした。
一方、欧米では美術品に比べ安価に手に入ることから、
幕末以降多く輸入され、今でも美術館などで保存されています。
ebayで「katagami」検索すると758件、
ヤフオクで「伊勢型紙」検索すると155件です(2013/12/8)。
ひとつの出品での枚数の違いはありますが、
ヤフオクでは書籍や道具も含まれていて155件なので、
型紙は海外の方が人気があるようですね。
 
海外へ渡った型紙は「ジャポニズム」の流行に一役買って、
アーツ・アンド・クラフツやアール・ヌーヴォーのデザインに
大きな影響を与えています。
 

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上の2点はヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の所蔵品。

沙織の型紙と、それに似た模様のミントンの花びん、そっくりですね。

 

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日本式のうねるような水の表現は様々なデザインにみられます。

こちらはルネ・ラリックの香水瓶。

他にも家具やポスター、壁紙など色々なものに日本的な意匠が使われています。

 

当時は個人の収集したものがデザインの資料として図書館に収められたり、

資料本が発刊されたりしていたので、

今の私達よりも当時の欧米のデザイナーのほうが、

日本的な意匠を目にする機会が多かったかもしれません。

 

デザインの資料としてだけではなく、

型紙自体を額装してインテリアとしても使われていたようです。

確かに、額装した型紙はコントラストもはっきりしていてすっきりしていて素敵です。

 

紀尾井ギャラリーでも型紙の状態の良いものが1枚5万円程度で販売されていました。

他にもふくら雀の図案を使ったグッズの販売もあります。
 
今回展示されていた型紙の中では、ウサギの小紋と雪華文様が気に入りました。
雪華文様の型紙は1832年のものだそうです。
その年に出版された土井利位『雪華図説』によって早速、
雪華文様がブームになって着物にも取り入れられたのだとか…早いですね。
 
型紙に使われる文様はそれぞれに洒落や吉祥、流行などの意味があって面白いですね。
 
館内にあった案内によると、こちらの所蔵品の図案を使った壁紙があるのだとか。

WALL DECO NOTE|kioi 伊勢型紙|リリカラ株式会社:インテリア事業部

モダンですね。

 

立命館大学ではデジタルアーカイブプロジェクトをしていたみたいだけど、

公開はされていないみたい…

型紙プロジェクト 活動報告ブログ

 
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裏手の公園の紅葉がキレイでした。
 
 
紀尾井アートギャラリー 江戸伊勢型紙美術館
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